日本内科学会認定総合内科専門医
京都府立医大卒
1)受精卵から最初に作られる器官が腸であり、腸にあった食物を知覚する神経細胞が脳神経細胞の元です。
これが、腸は第2の脳。脳は第2の腸、と言われる所以です。
2)腸内細菌叢(腸内フローラ)は、多様性を維持する事が重要で、善玉菌・日和見菌・悪玉菌の3種類を、バランスよくもちあわせることが必要です。
日和見菌は75%。日和見菌は優勢の菌の味方をします。
善玉菌も悪玉菌も、増やしても20%以上にはならないので、理想的腸内環境は、善玉菌20%、日和見菌70%、悪玉菌10% です。
3)土壌菌が日和見菌となります。
赤ちゃんは舐める事で日和見菌を増やしています。例えば、出生時に母親の便を食べることで、パンダは笹の葉、コアラはユーカリの葉を消化する腸内細菌を獲得します。人間も、出産時に母親の便を微量ながらも飲み込むことで、母親の腸内細菌を受け継ぎます。
4)土壌菌は発酵食品に多く含まれています。
清潔な生活環境となり、腸内細菌は、戦前の日本人と比べて3分の1に減っています。
第1子が第2子に比べアレルギーになりやすいのは、清潔すぎる環境ゆえと言われています。
5)生後1年半から3年で、腸内のIgA抗体と結合した菌だけが残り、腸内細菌の種類が決まります。
腸内環境改善による10の健康増進効果
1)肥満を予防します。善玉菌が作る短鎖脂肪酸の「酪酸」が白色細胞での過剰なエネルギー蓄積を阻害します。「酪酸」は交感神経を刺激しエネルギー消費を高めます。
2)肌をきれいにする「エクオール」はイソフラボンを善玉菌が発酵して作ります。エクオールは更年期障害・乳がん・前立腺がんの抑制効果があります。日本人の2人に1人・欧米人の4人に1人が、エクオール産生可能な腸内フローラを持っています。
3)腸には免疫細胞の6割が存在しており、免疫力の70%は、腸が生み出すため、腸内フローラにより免疫力が強化されるのです。
4)悪玉菌の増加は、腸管のバリア機能が低下し、毒素をブロック出来なくなります。毒素は体中で炎症を起こしますが、善玉菌の増加により、腸管バリアが強くなり、毒素をブロックできるようになります。
5)肝機能増強による免疫力の増加やアルコール及び毒素の分解処理能力の増加がみられます。
6)膵蔵機能の改善でインスリン分泌が増加し、血糖値が下がります。全身のインスリン抵抗性が減弱します。(インスリン抵抗性が高いと糖尿病になりやすくなります)
7)全身の炎症反応が減弱します。脂肪が使われないで貯留している状態は異常であり、肥満した脂肪組織では軽度の炎症(慢性炎症)が続いています。
トランス脂肪酸(マーガリン・ショートニング・ファーストフード)加工食品(ラード、バター)に多く含まれる飽和脂肪酸は外敵と見なされ、攻撃され炎症が起きやすくなります。
8)セロトニン・ドーパミンの分泌が増加し、疼痛の軽減、自律神経のバランス改善、精神状態の安定がなされます。
9)自律神経のバランスが良くなり健康になります。筋肉以外は全て自律神経の働きによって調整されています。
10)認知症の防止になります。うつ病、自閉症、認知症も、腸内細菌が深く関係しています。認知症の原因に腸内細菌多様性の低下による腸管バリア機能の低下が関連すると言われています。